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今日のトピック
2026.11.02 編集 / Vol.114
01 国際 Global
FRESH 2026.10.31
OpenAI、最新ラウンドの調達目標を200億ドルへ引き下げ——投資家の反応は「tepid」、確保済みは110億ドルとWSJ
きょうの号を貫くのは、AIの拡大を支えてきた資本に軋みが表面化する一方で、能力の普及(オープン勢・中国勢・国産モデル)はむしろ加速し、その能力が攻撃に転用される危うさと、データ利用・収益化のルールの引き直しが同時に進んだ ことだ。まず資本面。TechCrunch(10月31日)によれば、OpenAIは最新の資金調達ラウンドの目標額を200億ドルへ引き下げたとFinancial Timesが報じた。このラウンドは当初、1兆4,000億ドル(のちに1兆2,500億ドル)の評価額で300億ドルを調達するものと報じられていた。Wall Street Journalの続報では、これまでに確保できたのは110億ドルで、一部の大口投資家の反応は「tepid(生ぬるい)」だったという。ラウンドはアラブ首長国連邦(UAE)の投資家グループが主導し、富裕個人向けの追加募集で目標の200億ドルに届く可能性があるとされる。記事は、ウォール街がAIインフラへの過剰投資を警戒してハイテク株が売られた「タイミングの悪さ」も一因だと指摘する(OpenAIの公式コメントは記事になし)。含意は本号の縦串——“賢いAIを大量に回す”拡大の前提である巨額の資本調達そのものが、以前ほどすんなりとは進まなくなり始めている。
出典:TechCrunch:OpenAI reportedly lowers funding target for new round(2026-10-31)
FRESH 2026.10.30
AI設備投資ブームに「亀裂」——Big Tech 4社が今年7,400億ドル超の投資計画、ハイテク株は急落
資本の軋みは個社にとどまらない。TechCrunch(10月30日)によれば、Alphabet・Amazon・Meta・Microsoftの4社はこの2週間で、今年の設備投資として合計7,400億ドル超を計画すると表明した。だが市場の関心は、マイナスのフリーキャッシュフローや積み上がる債務、投資に見合うリターンが得られるのかへと移り、警戒が強まっている。10月30日(金)にはナスダックが2.9%下落し、Nvidiaは4%、Broadcomは5%超、Qualcommは11%下げた。前日にはAlphabetが過去最悪の12%安(時価総額5,000億ドル消失)、Amazonは決算後に7%安となった。個社ではAlphabetの第3四半期フリーCFが91億ドルのマイナス(2四半期連続)、Amazonは直近12カ月で424億ドルのマイナス、Metaも21億ドルのマイナスで、Microsoftだけが186億ドルのプラスと対照的だった。S&P Global集計では、Microsoft・Alphabet・Amazon・Meta・Oracleの5社が2026年に計3,260億ドルの負債を調達し、前年の3倍に達したという。含意は本号の縦串——拡大の資金繰りが「需要は強いが、その需要を満たすコストが怖い」という局面に入り、資本が最初のきしみを上げ始めている。
出典:TechCrunch:Cracks are emerging in the AI spending boom(2026-10-30)
FRESH 2026.10.30
Anthropic、IPO後に「ジャンク」級格付けの見込み——BlackstoneがFTに、以前の「投資適格」見通しから転換
資本の軋みは、IPOを控えるラボにも及ぶ。TechCrunch(10月30日)によれば、Financial TimesはAnthropicがIPO後に投機的等級(いわゆる「ジャンク」級)の高めの格付けを受ける見込みだと報じた。同社のチップ調達を支える630億ドル規模の取引でアンカー投資家を務めるBlackstoneが、その取引の投資家に対し、IPO後は「高い」ジャンク級(トップ層のダブルB圏)になると見込むと伝えたという。Blackstoneは以前、2027年までに投資適格(貸し手にとって低リスク)の格付けを得るとしていたため、見通しの転換に当たる。ジャンク級になれば、大規模支出を賄うための資金調達がより難しく高コストになり、Anthropicはハイパースケーラーや第三者への依存を強めかねない。記事は具体的な格付け会社名は挙げておらず、Anthropic・Blackstonともコメントを控えたとする。含意は本号の縦串——計算資源の確保が成長の生命線である以上、資本市場からの評価の下振れは、拡大のスピードそのものに効いてくる。
出典:TechCrunch:Anthropic expected to receive high 'junk' rating from credit agencies following IPO, FT report says(2026-10-30)
02 国内 Japan
▍AI需要の実像/キオクシアが2027年3月期中間決算を発表。4〜9月の純利益は2兆1978億円で「過去最高」を連呼し、上場来初の配当に踏み切った。AIメモリ需要を背景に「成長がさらに加速」とする
FRESH 2026.10.30
キオクシア中間決算、純利益2.2兆円で「過去最高」連呼——上場来初の配当、AI需要で「成長さらに加速」
海の向こうで資本が軋む(01)一方、国内ではAI需要の“実需”が過去最高益として表れた。ITmedia ビジネスオンライン(10月30日)によれば、キオクシアの2027年3月期中間決算(4〜9月)は、売上収益が約4兆2471億円、純利益が2兆1978億円と過去最高を記録した。河村芳彦副社長執行役員は「売上収益、営業利益など全て、2025年度の12カ月で計上した1年分を、7〜9月の3カ月で上回っている」と述べ、第2四半期(7〜9月)単独でも売上収益は前年同期比453.2%増の約2兆4800億円に達した。投下資本利益率(ROIC)は102%で「この世界では例を見ない数字」とし、8月には8000億円の自社株買いを実施、中間配当として上場来初の総額480億円(1株90円、分割後30円)の配当に踏み切った。第3四半期は売上収益2兆5000億円・純利益1兆3650億円を見込む。河村氏は「AI需要の拡大を背景に、成長がさらに加速している」と語った。含意は本号の縦串——株式市場がAI投資のコストに身構える(01)一方で、そのインフラを支える半導体メモリの需要は、過去最高益という“実需”として日本企業の決算に刻まれている。
出典:ITmedia ビジネスオンライン:キオクシア中間決算「過去最高」連呼 純利益2.2兆円、初の配当実施(2026-10-30)
▍国産LLM/ソフトバンク傘下のSB Intuitionsが、フルスクラッチ開発「Sarashina」シリーズ初の思考モデル「Sarashina3.2 mini thinking」を発表。コーディング・ツール呼び出し・Web検索の性能が向上し、APIで提供する
FRESH 2026.10.30
SB Intuitions、国産LLM「Sarashina」初の思考モデルを発表——low/medium/highで思考の深さを調整、APIで提供
国産モデルも“考える”段階へ進む。ITmedia AI+(10月30日)によれば、ソフトバンク傘下のSB Intuitions(東京都港区)は10月29日、フルスクラッチ開発する「Sarashina」シリーズ初の思考モデル「Sarashina3.2 mini thinking」を発表した。思考モデルは回答の精度を高めるために出力に時間をかけるもので、非思考の「Sarashina3 mini」と比べて複雑なタスクに対応でき、コーディング・ツール呼び出し・Web検索の性能が向上したという。思考の深さをlow・medium・highの3段階で設定でき、回答時間と精度のバランスを調整できる。事前学習では長文処理とエージェント性能、事後学習ではWeb検索能力と安全性の改善に注力したとし、複数のベンチマークで国立情報学研究所「llm-jp-4.1-33b-thinking」やAlibaba Cloud「Qwen3-235B-A22B-Thinking-2507」、OpenAI「gpt-oss-120b」に匹敵するスコアを得たとする。無償β版「Sarashinaサービス」を通じAPIで提供する。含意は本号の縦串——資本と能力が海外勢で動く(01・03)なか、データ主権や自前運用の需要を背景に、国産モデルが“推論”という最前線の機能でも居場所を広げている。
出典:ITmedia AI+:国産LLM「Sarashina」に初の「思考モデル」 ツール呼び出しやWeb検索性能が向上(2026-10-30)
▍企業の自衛/GMOインターネットグループが「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスを受け、犯人特定につながる情報に総額100万ドル(約1.5億円)の懸賞金を創設。民間がこれほどの懸賞金をかけるのはグローバルでもまれだという
FRESH 2026.10.31
GMO、サイバー攻撃情報に総額100万ドルの懸賞金——不正アクセス被害受け、ホワイトハッカーチームも独自調査
攻撃が高度化するなか、企業は“自衛”にも動く。MONOist(10月31日)によれば、GMOインターネットグループは、連結子会社が提供する「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセス被害を受け、犯人の特定・検挙と事件解明につながる有力情報に総額100万米ドル(約1億5000万円)を支払う「GMOサイバー犯罪撲滅・懸賞金」を創設した。10月30日18時時点で累計428件の情報が寄せられたという。被害は10月21日に公表され、サーバ内の取引口座ログイン情報などが第三者に取得・不正利用された可能性がある。同社は新規申し込みを停止し全プランのサーバを順次停止、顧客には一律5000円のお見舞金と、公開情報の区分に応じ最大300万円の特別お見舞金を決めた。29日にはグループのホワイトハッカーチームが独自調査で有力情報を入手し、警察などへ提出したと明らかにした。記事は、攻撃・不正アクセスの増加の背景にAIの進化があり、攻撃者が高度なマルウェア開発や脆弱性探索を低コストに自動化できるようになったと指摘し、民間がこれほどの懸賞金をかけるのはグローバルでもまれだとする。含意は本号の縦串——AIで攻撃が速く安くなるほど、“守る側”は従来の防御に加え、情報提供への懸賞金という異例の手段にまで踏み込み始めている。
出典:MONOist:GMOがサイバー攻撃情報に異例の1.5億円懸賞金、AI時代の新防衛策となるのか(2026-10-31)
03 技術・ビジネス動向 Tech & Business
NEW 2026.11.01
ChatGPT、ChatとWorkを統合し12月から共通トークン予算制へ——Plus/Pro/Businessが対象、"無制限"課金の終わり
資本が引き締まるなか、提供側は収益化の設計も引き直す。The Decoder(11月1日)によれば、OpenAIはChatGPTの「Chat」と「Work」を統合し、12月からPlus・Pro・Businessの各プランで、ChatGPTとCodexにまたがる単一のトークン予算を共有させる方針だと、更新されたサポートページを引いて伝えた。Workのエージェント機能を主要インターフェースに統合する動きで、トークンはモデルが処理・生成する情報量を測る単位のため、複雑なモデルやタスクほど予算を速く消費する。残量とリセット時刻は設定画面で確認でき、上限に達したらリセットを待つか、上位プランへの移行、追加クレジットの購入を選ぶ。Instantモデルとのチャットは予算に計上されないため「建前上」は定額のままだが、安価なプランでの多用は結果の質低下につながりやすいと記事は分析する。OpenAIは先に上位プランの利用上限を倍増しており、記事は統合に向けた準備だったとみる。AnthropicはすでにClaudeでChatと「Cowork」を統合している。含意は本号の縦串——資本の制約が強まるほど、“使い放題”を前提にした課金は見直され、計算コストを誰がどこまで負担するかが製品設計の前面に出てくる。
出典:The Decoder:OpenAI's upcoming chat-and-work merger in ChatGPT signals the end of all-you-can-prompt pricing(2026-11-01)
FRESH 2026.10.29
Mistral、1兆パラメータ「Mistral Large 4(Le Chonk)」の重みを公開——主権的サイバー防衛を掲げ、GLM-5.3比でトークン47%減
能力の普及は、オープンウェイトからも押し広がる。TechCrunch(10月29日)によれば、Mistralは1兆パラメータ級モデル「Mistral Large 4」(略称ML4、通称「Le Chonk」)の重みをオープンソースとして公開し、HuggingFaceと自社API経由で入手できるようにした。企業や政府が自前でダウンロード・展開でき、Mistralは「主権的なサイバー防衛能力」を掲げて、重大インシデントの特定・調整・リアルタイム対応をオンプレミスでも担えるとする。中国のオープンウェイト「GLM-5.3」と性能面で比肩しつつ、タスク当たりのトークン消費は47%少なく「はるかに経済的」だと主張し、Artificial AnalysisのCoding Agent Indexではオープンモデル中で首位だとする。CEOのArthur Mensch氏は、AIは「支配ではなく、力を与える道具であるべきだ」と述べた。科学担当VPのPierre Stock氏は、オープンウェイトの利点を「定義上、遮断されないアクセス」と表現した。含意は本号の縦串——フロンティアの能力が、クローズドな大手だけでなく、低コストで自前運用できるオープンウェイトへと確実に拡散し始めている。
出典:TechCrunch:Mistral releases weights for its trillion-parameter AI model, targeting cybersecurity(2026-10-29)
NEW 2026.11.01
AI学習拒否を robots.txt で一括指定する共通シグナルへ——OpenAI・Google・Microsoftが対応表明、AnthropicはIETFに草案
能力が広がるほど、学習データをめぐるルールも整えられていく。ITmedia NEWS(11月1日)によれば、OpenAI・Google・Microsoftは10月30日(現地時間)、サイト運営者がAI学習への利用可否を複数のAI企業へまとめて伝えられる共通の仕組みに対応する方針をそれぞれ発表し、Anthropicも実装を進めている。Anthropicの標準化担当ケビン・ケリー氏がIETFに提出した草案「Machine-Readable Training Preference Signal」に基づくもので、robots.txtの「User-Agent」行に「__usage_ai-training」というトークンを置き、その下で「Disallow」(拒否)や「Allow」(許可)を記述する。クロール自体の禁止ではなく、新しい文法も導入しないため既存パーサーへの影響はないとされる。OpenAIは今後数カ月での対応を目指し、Googleは2027年の対応を表明、共通シグナルで拒否しつつ独自の「Google-Extended」を明示しないサイトはGoogle-Extendedでも拒否と扱うとした。Microsoftは2027年2月1日から読み取りを始め、ページ単位のmetaタグやHTTPヘッダ指定にも対応するという。背景にはパブリッシャーの訴訟相次ぎや、CloudflareのクローラーをAI用途別に管理する機能の開放がある。含意は本号の縦串——拡大の燃料であるWebコンテンツについて、“勝手に学習される”状態から、運営者の意思を機械可読で示す枠組みへと、業界横断の線引きが動き出している。
出典:ITmedia NEWS:AI学習への利用拒否をrobots.txtで一括指定へ OpenAIやGoogleなどが対応表明(2026-11-01)
04 リスクと制約 Risk & Constraints
▍攻撃能力の拡散/Epoch AIの研究で、中国のオープンウェイト「GLM 5.3」がFirefoxのエクスプロイト連鎖を人手ゼロで自律生成。公開済みパッチと配信の時間差(パッチギャップ)を突き、1件あたり約1,000ドル・最短12時間で成立した
RISK 2026.10.30
オープンウェイトGLM 5.3、Firefoxのエクスプロイト連鎖を人手ゼロで自律生成——攻撃能力は単一の門番を越えて拡散
能力の拡散(03)は、そのまま攻撃能力の拡散でもある。The Decoder(10月30日)によれば、Epoch AIの研究者は、中国のオープンウェイトモデル「GLM 5.3」が、修正が公開コードに現れてから利用者に配信されるまでの「パッチギャップ」を突いて、Firefoxへのエクスプロイト連鎖を人手の介在なしに自律生成できることを示した。研究者は対象のFirefoxバージョンと基本的なツール、公開情報をオフライン環境で与えただけで、モデルは脆弱性を選び、読み込むとローカルファイルを読み出して攻撃者のサーバへ送るWebページを組み上げた。保存されたパスワードや認証クッキー、private文書が流出し得るという。成立は1バージョン当たり約1,000ドルのAPI料金、最短12時間(上限48時間)。研究者は自分たちの行動を、実際の利用者を標的にする者と「区別がつかない」と表現する。Z.aiなど各APIは安全ガードを作動させなかった。Mozillaには開示済みで、修正はFirefox 159.0(10月27日公開)に入ったが、同種攻撃が完全に防げるかは未確認とする。含意は本号の縦串——強力なクローズドモデルを防御側に持たせても、修正が公開された瞬間に攻撃者へ手掛かりが渡る構造は変わらず、攻撃能力は単一の門番を越えて広く拡散し始めている。
出典:The Decoder:Open-weight model GLM 5.3 built full Firefox exploit chains with zero human input in under 48 hours(2026-10-30)
▍学習データと同意/OpenAIが11月29日から、これまで学習対象外としていた「Daybreak Blue」セッションのデータをモデル学習に使う方針を通知。学習オフ設定でも対象になるとされ反発が起き、別途オプトアウトを約束した
RISK 2026.10.31
OpenAI、学習対象外だった「Daybreak Blue」セッションのデータを11月29日から学習利用へ——反発受けオプトアウトを約束
データ利用の線引き(03のrobots.txt)は、既存ユーザーとの同意の問題としても噴き出した。The Decoder(10月31日)によれば、OpenAIは11月29日から、これまで学習対象から除外していたサイバーセキュリティ関連の「Daybreak Blue」セッションのデータをモデル学習に使う方針を、Trusted Accessプログラムの参加者へのメールで通知した。従来はユーザーが「全員のためにモデルを改善する」設定をオフにしていても除外されていたデータで、記事は学習をオフにしている場合でも今回の変更が及ぶとする。これに対し反発が起き、OpenAIは後続のメールで別途オプトアウトを設けると約束したが、その方法や範囲の詳細は示されていない。安全性レビューで該当した対話は引き続き安全目的で利用され得る。記事は、数学者が未公開の研究草案をCodexに入力した事例(学習利用の疑いをOpenAIは否定)を引き、“疑い”だけでも研究者に何が起こり得るかを示したと指摘する。含意は本号の縦串——学習データのルールを機械可読で整える動き(03)の裏で、既存ユーザーが預けたデータの扱いと同意という、足元のガバナンスが問われている。
出典:The Decoder:OpenAI plans to train models on Daybreak Blue cybersecurity session data that was previously off-limits(2026-10-31)
▍身近な盗み見/テルアビブ大学の研究で、Meta Ray-Banなどのスマートグラスで向かいから手元を撮影し、画像認識AIと漏えいパスワード統計からスマホの入力を推定する攻撃が示された。のぞき見防止フィルムでは防げない可能性がある
RISK 2026.10.30
スマートグラスで向かいから手元を撮影しスマホ入力を推定——テルアビブ大の研究、画像認識AIと漏えい統計を統合
攻撃能力の拡散は、日常の端末にも降りてくる。ITmedia NEWS(10月30日)によれば、テルアビブ大学のYoav Orenbach氏とAvishai Wool氏は、Meta Ray-Banなど普通の眼鏡に見えるスマートグラスで向かいの席や立った状態からパスワード入力中の手元を撮影し、スマホの入力を推定する手法を論文「Watch and Crack」で示した。画像認識AI「SAM 3」と手の追跡モデル「MediaPipe Hands」で指先をサブピクセル精度で追い、3Dニューラルネットワークで打鍵の瞬間を特定、バックスペースによる修正も自動で除外する。シフトキーなどの位置から画面上のキーボード領域を逆算し、映像から得た打鍵確率と約22億件の漏えいパスワード統計を数学的に統合して候補を絞り込む。相手の機種や入力アプリの事前知識は不要で、参加者16人の実験では全体の77.8%で打鍵数の特定に成功、撮影距離は最大1.8mまで有効だった(Pixel 10・iPhone 16・Galaxy A53で確認)。前方からでも解析されるため、のぞき見防止フィルムやプライバシー表示では防げない可能性があると記事は指摘する。含意は本号の縦串——AIによる推定能力が安価な市販デバイスに載ることで、肩越しの盗み見という古典的リスクさえ、正面からの一瞬の撮影で成立しかねない時代に入っている。
出典:ITmedia NEWS:Meta Ray-Banで向かいの席から撮影→指の動きからスマホのパスワードを解読する盗み見攻撃(2026-10-30)
きょうのひとこと
きょうの縦串は、AIの拡大を支えてきた資本に軋みが表面化する一方で、能力の普及(オープン勢・中国勢・国産モデル)はむしろ加速し、その能力が攻撃に転用される危うさと、データ利用・収益化のルールの引き直しが同時に進んだ という流れである。
まず資本。OpenAIは最新ラウンドの調達目標を300億ドルから200億ドルへ引き下げ、確保済みは110億ドル・大口の反応は「tepid」と報じられた。Big Tech 4社は今年7,400億ドル超の設備投資を掲げたが、マイナスのフリーCFと3倍に膨らんだ負債に市場が身構え、ナスダックが2.9%下げ、Alphabetは過去最悪の12%安を記録した。AnthropicはIPO後に「ジャンク」級格付けの見込みと伝わる。“賢いAIを大量に回す”前提だった巨額マネーが、以前ほどすんなりとは流れなくなり始めている。
だが能力の普及は止まらない。国内ではキオクシアがAIメモリ需要を背景に純利益2.2兆円の過去最高・上場来初配当を発表し、SB Intuitionsは国産「Sarashina」初の思考モデルを投入した。海外ではMistralが1兆パラメータ「Le Chonk」の重みを公開し、主権的サイバー防衛とオープンウェイトの“遮断されないアクセス”を掲げた。資本が締まるほど、提供側は収益化も引き直す——ChatGPTはChatとWorkを統合し、12月から共通トークン予算制へ移る。
そして能力の拡散は、攻撃能力の拡散でもある。Epoch AIの研究では、オープンウェイトのGLM 5.3がFirefoxのエクスプロイト連鎖を人手ゼロ・1件約1,000ドルで自律生成し、「攻撃能力は単一の門番を越えて拡散する」ことを示した。身近な端末でも、スマートグラスで手元を撮ればスマホ入力を推定できるという研究が出た。日本では被害を受けたGMOが情報提供に約1.5億円の懸賞金という異例の自衛に踏み込んだ。守る側のルールも動く——AI学習の可否をrobots.txtで一括指定する共通シグナルに大手が足並みをそろえ、一方でOpenAIは学習対象外だった「Daybreak Blue」のデータ利用で反発を浴び、オプトアウトを約束した。
重ねると、きょうの問いはこうだ。拡大の資本に初めてのきしみが走るなかで、能力はオープン勢・国産勢へと拡散し、同じ能力が攻撃にも転用され、学習データと課金のルールが一斉に引き直されている——このとき効くのは、派手な新能力よりも、拡散する能力に“資金・同意・防御”の設計をどれだけ追いつかせられるかである。
※本日も Arena リーダーボードの現在値(Text/Vision/WebDev/Code/Image 各カテゴリの Arena Elo)の自動取得は、arena.ai 側が2026年3月のボード・モデル名の取れないプロバイダ別表示、lmarena.ai 側が2025年11月のボード、HuggingFace dataset 側は現在値(2026.10.28 公開)が得られるものの指標が Arena Elo ではない Agent Arena の IPS スコアのため、今号で各カテゴリに使える現在の Elo が得られませんでした。したがって本号では前号(2026.10.30・Vol.113)から継続している Arena スナップショット(Text 2026.10.20 board/WebDev 2026.10.19 board/Vision 2026.10.02 board/Image 2026.10.06 board/Code 2026.08.25 最終)をそのまま継続掲載しています。取得できなかった数値の推測・補間・創作は一切行っていません。
Edited by New Realities Corporation
Text Vision WebDev Code Image
5カテゴリの読み方を見る GUIDE →
Text Arena Top 5/ 2026.10.20 board(前号 Vol.113 より継続掲載)
board最終更新 2026.10.20(前号継続)
# Model Arena Score
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gemini-4-argon-highGoogle · proprietary(暫定)
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claude-fable-5-highAnthropic · proprietary
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Vision Arena Top 5/ 2026.10.02 board(前号 Vol.113 より継続掲載)
board最終更新 2026.10.02(前号継続)
# Model Arena Score
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claude-fable-5-highAnthropic · proprietary
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qwen3.8-maxAlibaba · proprietary
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claude-opus-4-6-highAnthropic · proprietary
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claude-opus-4-7-highAnthropic · proprietary
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WebDev Arena Top 5/ 2026.10.19 board(前号 Vol.113 より継続掲載)
board最終更新 2026.10.19(前号継続)
# Model Arena Score
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claude-opus-5.5-maxAnthropic · proprietary
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claude-fable-5.1-maxAnthropic · proprietary
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Code Arena Top 5/ Arena が Code を WebDev へ統合・単独 Code board は休止中。2026.08.25 の最終スナップショット(前号継続)
board最終更新 2026.08.25(前号継続)
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claude-opus-4-7-highAnthropic · proprietary
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Image Arena Top 5/ 2026.10.06 board(前号 Vol.113 より継続掲載・Single Image Edit)
board最終更新 2026.10.06(前号継続)
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grok-imagine-image-2.0 (canvas)SpaceXAI · proprietary(暫定)
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