Today's Topics
今日のトピック
2026.08.11 編集 / Vol.59
01 国際 Global
NEW 2026.08.10
Metaが「Muse Glimmer」を公開—30B・Apache 2.0のオープンウェイトで単一GPUでも動くローカル・エージェント。2025年4月以来の「主要」オープンLLMで、ザッカーバーグは「オープンの障壁を取り除け」と各国に迫る
きょうの号を貫くのは、能力が「クラウドの外」——ローカル・オープン・主権——へ広がる動きだ。その先陣がMetaのオープンモデル復帰である。Meta公式のリサーチブログやCNBC、MarkTechPostによれば、Metaは8月10日、300億パラメータ(30B)の密結合マルチモーダルモデル「Muse Glimmer」を、寛容なApache 2.0ライセンスのオープンウェイトで公開した。上位の「Muse Spark」系から蒸留し、コーディング・関数呼び出し・スケジュール管理・ファイル整理・失敗回復つきの多段推論といった「常時オンのローカル・エージェント」向けに最適化。量子化で約4bitまで圧縮し、投機的デコードと合わせてPCやMac、単一のコンシューマGPUでネット接続なしに動く。文脈長は131Kと他社の100万トークンには見劣りするが、公式量子化(GGUF・ExecuTorch等)やドラフタDFlashまで同梱し、llama.cpp・Ollamaで即動く実用性で勝負する。ベンチではQwen 3.6 27BやGemma 4 31Bを上回り、エージェント的なオーケストレーションと推論で強い一方、コンピュータ操作やターミナル作業では劣ると報じられた。Metaにとって2025年4月以来の「主要な」オープンLLMで、ザッカーバーグ氏は閉じたモデル開発を批判し、蒸留を進歩に不可欠と擁護、米国に「オープンソースAIの障壁を取り除け」と迫った。含意は明快だ——巨大クラウドに載る proprietary フロンティアとは別に、手元のハードで回る「開いた・軽い」知能が、開発者とスタートアップの裾野を一気に広げる。ライセンスと性能の細部は一次情報で要確認である。
出典:Meta AI Research: Introducing Muse Glimmer, an Open Agentic Model That Runs on Your Device / CNBC: Meta launches Muse Glimmer open-weight AI model / MarkTechPost: Meta AI Releases Muse Glimmer, a 30B Open-Weights Agentic Model That Runs on One Consumer GPU
NEW 2026.08.10
「主権AI」がインフラ戦略に—NaverがNvidia・Brookfieldとギガワット級データセンターを構想(Brookfieldが最大90億ドル融資・Nvidiaは10億ドル出資)、韓国政府は5兆ウォンの半導体基金を新設
ローカル化の国家版が「主権AI(sovereign AI)」だ。The Wall Street Journalやロイター(Tech Startups 経由)によれば、韓国のネット大手Naverは、検索・EC中心の事業からAIインフラへ軸足を広げている。AI投資の増大で営業費は膨らむ一方、NvidiaとBrookfieldと組んで数十億ドル規模——将来的にはギガワット級——のデータセンター拡張を進める。Brookfieldは最大90億ドルの融資を、Nvidiaは条件付きで10億ドルの戦略出資を計画し、Naverは韓国と米国のAI開発者に計算基盤を提供しつつ、韓国の「主権的な計算能力」を支える狙いだ。同じ日、韓国政府は半導体の素材・装置・部品・ファブレス設計を支える5兆ウォン(約35億ドル)の基金と、輸出企業向けに追加5兆ウォンの貿易金融を打ち出した。李在明政権は5,760億ドル超の半導体投資の解放と、電力・水・用地といった「地味だが決定的な」インフラ整備を急ぐ。米ハイパースケーラーに依存せず、計算・電力・部品を自国で握ろうとする動き——これはきのうの号の秋田データセンターや、本号のMetaのオープン化と同じ地図の別の座標にある。金額・時期・条件は協議段階で、一次情報で要確認である。
出典:Tech Startups: Naver's AI Spending Rises as South Korea Builds a Sovereign AI Infrastructure Stack / South Korea Launches $3.5 Billion Tech Fund(WSJ・Reuters 報)
NEW 2026.08.10
中国の「身体化した知能」が資本市場へ—ヒト型ロボットのUnitreeが上海上場で約9億ドル調達へ。すでに黒字、テンセント・アリババ等が出資し、AgiBot・Lejuも公開市場を目指す
主権と並ぶもう一つの軸が、知能の「物理化」だ。ロイター(Tech Startups 経由)によれば、杭州拠点のロボット企業Unitree(宇樹科技)は上海科創板への上場を準備し、約61億元(約9億ドル)の調達を目指す。G1・H1・R1といったヒト型ロボットの開発を拡大するためで、多くのロボット新興がベンチャー資金を燃やし続けるなか、Unitreeは四足歩行とヒト型の双方で黒字事業を築いた点が異例だ。2025年の売上は約17億元、うち4割超が海外で、テンセント・アリババ・美団や国有系が出資する。背景には、北京が推す「具身智能(embodied intelligence)」——AIをソフトから物理環境で動くロボットへ広げる国家方針——があり、AgiBotやLeju Roboticsも公開市場入りを狙う。汎用ヒト型の商用需要はなお不透明だが、中国の製造サプライチェーンはハード原価を押し下げる強みになる。きのうの号でGoogleのGemini Robotics 2が全身制御を見せ、きょう中国勢が資本市場でそれを支える——知能は物理層へ降り、資本もそれを追う。数値・時期は一次情報で要確認である。
出典:Tech Startups: China's Unitree Pushes Toward IPO as Humanoid Robotics Race Moves Into the Capital Markets(Reuters 報)
02 国内 Japan
▍応用/楽天が「AI店長」を披露—楽天市場で24時間365日の接客へ。三木谷氏は予約・購入・決済まで担う「スーパーエージェント」構想も
FRESH 2026.08.06
能力が「現場の業務」へ降りていくのは日本も同じだ—楽天グループは8月5〜7日、AIの大型イベント「Rakuten AI Optimism」をパシフィコ横浜で開催し、三木谷浩史会長兼社長が開発中の「AI店長」を披露した。楽天市場の各店舗の店長をアバター化し、問い合わせ対応・商品提案・購入サポートを24時間365日こなすことで、同市場が強みとする「人による接客」をAIで拡張する。あわせて、質問への回答だけでなく予約・購入・決済まで実行する「スーパーエージェント」構想も示し、年内のテスト投入を予告した
「開いた・軽い知能」が供給側の話なら、AI店長は需要側——実際に売買が起きる現場——へエージェントを届ける試みだ。ITmedia MobileやNikkei、DIGIDAYによれば、三木谷氏は「世界で最もAIを使う企業(プラットフォーム)」を掲げ、「楽天AI」を軸に検索・EC・モバイルなど全サービスでAI活用を進めると説明した。エージェントの性能が約7か月で倍になるとし、これを単なる効率化ではなく「あらゆる産業が再定義される革命」と位置づけた。含意は本号の縦串と響き合う。Metaがオープンモデルで知能の裾野を広げ、韓国が主権的な計算基盤を積むのが「供給と土台」なら、AI店長は「安く豊富になった知能を、日本語のEC接客でどう使い切るか」という応用の実装だ。もっとも、24時間の自律接客は、誤案内・過剰推奨・不適切な購入誘導といった新たな信頼の問題も抱える(本号リスク面の「AIへの委任」の議論と地続きだ)。提供時期・機能・対象範囲は一次情報で要確認である。
出典:ITmedia Mobile: 楽天市場に「AI店長」起用へ 三木谷氏が明かす“スーパーエージェント”構想とモバイルの重要性 / 日本経済新聞: 楽天市場に「AI店長」搭載へ 店舗の専門知識で買い物サポート / DIGIDAY[日本版]: 楽天が「AI店長」を年内テストへ。三木谷氏が描く、「自動販売機ではない」ECの未来
▍統治/ソフトバンクが「AGENTIC STAR」に「LLM Gateway」を標準搭載—AIコーディングツールも企業ガバナンスの管理下へ
FRESH 2026.08.07
現場にエージェントを広げるほど、それを「把握し、統治する」層が要る—ソフトバンクは8月7日、法人向けAI活用プラットフォーム「AGENTIC STAR」のSaaS版に、複数のLLMを統合管理する「LLM Gateway」機能を8月上旬から標準搭載すると発表した。エンジニアが使うAIコーディングツールと、企業が契約して使うLLMサービスの「あいだ」に置くゲートウェイで、両者のやり取りをここに通すことで、AGENTIC STARの管理・制御機能をコーディングツールにも適用できる。ツールの使い勝手を保ったまま、各社が定めたルールに沿ったコーディングを可能にする
「任せる範囲」を広げる話は、必ず「どこで人が見るか」という統治の話とセットになる。AI Watch(Impress)やロボスタによれば、AGENTIC STARはスタッフと協働して自律的に業務を進めるAIエージェントや、企業が安全にAIを使うための機能、エージェントの構築・運用機能を備えるSaaSで、80種類以上のツールを使い分ける設計だ。今回のLLM Gatewayは、開発のボトルネックが「コードを書く」から「検証・統治」へ移るなかで、AIコーディングの利便性と企業ガバナンスを両立させる狙いがある。含意は本号の応用群(楽天のAI店長、そして技術面のCloudflareエージェント用ブラウザやStanfordの仮想バイオ企業)と対をなす。エージェントが現場で動くほど、支出・権限・出力を「見える化し、ルールで縛る」基盤の価値が上がる——能力の拡張と、その統治は同じ速度で組み上げねばならない。機能詳細・提供条件は一次情報で要確認である。
出典:AI Watch(Impress): ソフトバンク、「AGENTIC STAR」SaaS版に「LLM Gateway」機能を標準搭載 / ロボスタ: ソフトバンク「AGENTIC STAR」に「LLM Gateway」標準搭載 AIコーディングツールもガバナンス管理下に
03 技術・ビジネス動向 Tech & Business
NEW 2026.08.10
防御特化の「Corma」がSequoia主導で6,000万ドルをシード調達—汎用AIは「攻撃者として優秀、守り手として非力」(社内試験で攻撃88%成功・防御は12%しか検知)。防御用の基盤モデルを開発
きょうの「サイバー攻防」の一方の当事者が、資本を得た。Fortune(8月10日)やThe Next Web、Calcalistによれば、テルアビブ拠点のCormaは、SequoiaがリードしKhosla Ventures・Coatueが参加する6,000万ドルのシードを調達した。2025年にAI研究者とイスラエル軍サイバー部隊8200出身者が創業し、防御サイバーセキュリティに特化した基盤モデルを開発する。既存のセキュリティ製品群の上で「仮想の従業員」のように動くAIエージェントを配し、初期顧客では脅威対応時間が94%超短縮、防御カバレッジが15倍に広がったという。同社の主張は本号リスク面と正確に噛み合う——汎用モデルは攻撃者としては極めて有能だが守り手としては非力で、社内シミュレーションではAIの攻撃側が88%成功する一方、AIの防御側は脅威の12%しか検知できなかった。ヘルスケア・金融・エネルギー・重要インフラのFortune 100/500企業と既に協業し、資金は事前学習・事後学習・サイバー研究に投じて学際チームを拡張する。攻める能力の急伸に、守る側が専用モデルで応じる構図が、フロンティアラボ(OpenAIのGPT-5.6-Cyber)だけでなくスタートアップにも広がっている。数値と定義は一次情報で要確認である。
出典:Fortune: Exclusive: Corma raises $60 million from Sequoia, Khosla Ventures for AI trained to defend against cyberattacks / The Next Web: Corma raised $60M from Sequoia to build the defensive AI that cybersecurity is missing
NEW 2026.08.10
Intelが150億ドルの公募増資—物理AI・専用シリコン・先端実装・受託生産へ。AI半導体の需要爆発を追うが、希薄化懸念で株価は一時3%超下落(年初来では倍超)
知能がローカル・オープンへ広がるほど、それを刻むシリコンの争奪も激しくなる。ロイター(Tech Startups 経由)によれば、Intelは最大150億ドル(引受人の追加オプション22.5億ドル)の普通株公募を発表した。調達資金は設備投資・運転資金を含む一般目的に充て、物理AI・専用シリコン・先端パッケージング・外部ウエハー受託の成長を追う。前提には、AI計算インフラへの前例なき投資に牽引された強い顧客需要がある。希薄化を嫌気して株価は寄り付き前に3%超下げたが、事業再建の勢いで年初来では倍以上に値上がりしている。主幹事はJ.P.モルガン・ゴールドマン・サックス・モルガンスタンレー・シティ。TSMCと競う受託製造(ファウンドリ)への投資家の関心を追い風に、新工場へ重く投じるためのバランスシート補強で、供給制約に悩むスタートアップやハイパースケーラーにとっては、中長期的に計算能力の逼迫を和らげうる。同じ8月10日にTSMCの7月売上が前年比約45%増、韓国が5兆ウォンの半導体基金を新設——AIインフラ投資はなお衰えず、資本市場もそれを織り込む。数値・条件は一次情報で要確認である。
出典:Tech Startups: Intel Announces $15 Billion Common Stock Offering Amid AI Demand Surge(Reuters 報)
FRESH 2026.08.10
Stanfordの「仮想バイオ企業」で3万7000のAIエージェントが創薬を設計—2025年1月以前のデータのみで肺がん標的の抗体薬物複合体を自律設計、数か月後にメルクが独立に到達しFDAブレークスルー指定
「エージェントが現場の仕事へ」の最も鮮烈な一例だ。VentureBeatによれば、VB Transform 2026でStanfordのJames Zou准教授が、数万のAIエージェントが協働する「Virtual Biotech」を紹介した。専門の異なるエージェント同士が議論することで単一モデルより揺らぎの少ない結論に至る設計で、まず3万7000の「臨床試験エージェント」が散在する試験データを統合し、成功予測の手がかりを見つけた。そのうえでシステムは、2025年1月より前に公開されたデータだけを使い、肺がんの標的(CD276)に狙いを定めた抗体薬物複合体(ADC)を自律設計したという。Zou氏は、その数か月後に製薬大手メルクが独立して同じ治療設計に到達・検証し、FDA(米食品医薬品局)のブレークスルー指定を受けたと述べ、これを「仮想バイオ企業のエージェントが出した設計への、第三者による外部検証」と位置づけた。大規模運用では、手順を逐一指示するのではなく、エージェントが協働しやすい「環境そのものを設計する」発想への転換が要るとも語る。とはいえ、AIが先に出した設計を人間の製薬会社が後から裏づけたという構図は、検証可能性と再現性が担保されて初めて意味を持つ。研究の詳細・査読状況は一次情報で要確認である。
出典:VentureBeat: Stanford is running 37,000 AI agents as a 'virtual biotech' and one of its drug designs got independently confirmed by Merck
04 リスクと制約 Risk & Constraints
▍二重利用/OpenAIが「GPT-5.6-Cyber」を投入しDaybreakをRed/Blue二層に—認可された防御者向けに制限を緩めた最も踏み込んだサイバー用モデル
RISK 2026.08.10
▍集中/ムーディーズ警告「銀行のAI推進は巨大テックへの依存を深める」—少数のクラウド・AI事業者への集中が、金融システムの新たな脆さに
RISK 2026.08.09
基盤を誰が握るかは、金融の「集中リスク」にも姿を変える—格付け大手ムーディーズは、銀行がAI導入を急ぐほど、少数のクラウド・AIプロバイダーへの依存が高まり、障害・セキュリティ失敗・価格支配・ベンダー集中の脆弱性にさらされると警告した。信用判断・顧客対応・保険金査定・不正検知・内部自動化にAIが広がるなか、重要業務が一握りの技術ベンダーの基盤に集まると、一社の障害が多数の金融機関を同時に襲いうる
「開いた・主権的な」知能が広がる一方で、現実の企業導入はなお少数の巨大基盤に集中している。The Guardian(8月9日)によれば、ムーディーズは、ロイズ・バンキング・グループが数十億ポンドをAIを含む技術変革に投じる例を挙げつつ、重要ワークフローが特定プラットフォームに依存する危うさを指摘した。主要プロバイダーで障害やセキュリティ失敗が起きれば、一行の問題にとどまらず多数の金融機関へ同時に波及しうる。さらに同社は、プライバシー・不正に加え、AI対応の金融ツールがストレス時に機関間の資金移動を加速させる可能性にも触れた。含意は本号の縦串と重なる。Metaのオープン化やNaverの主権AIは「集中への対抗」だが、足元の金融実務ではむしろ集中が進む。基盤の所有と依存が複雑に絡むほど、一社の躓きが連鎖するシステミックな脆さは増す——能力の分散と、依存の集中という二つの力が、同時に働いている。評価の前提と対象範囲は一次情報で要確認である。
出典:The Guardian: AI push could make banks more dependent on a few tech firms, Moody's warns
▍社会/米国でAIデータセンターへの反発が超党派の政治問題に—電気代・水・騒音への懸念で、「地域の同意」が用地・チップ・資本に次ぐ新たな制約に
RISK 2026.08.10
計算基盤の争奪は、地域社会との摩擦という制約に突き当たる—米国では、巨大AIデータセンターへの反対が共和・民主の双方の地域で強まっている。住民は電気代・水の供給・騒音・地域インフラへの影響を問い、2026年の中間選挙を前に政治家も無視しにくくなった。テキサス・フロリダ・ペンシルベニア・ネブラスカ・オハイオなどで、監督強化・事業監査・家計にインフラ費を転嫁させない保護を求める圧力が高まっている
主権AIやオープン化が「どこに基盤を築くか」を問うなら、その基盤は「誰が近所に受け入れるか」でも決まる。Business Insider(Tech Startups 経由)によれば、データセンター開発者はかつて用地・チップ・資本を主な制約と見ていたが、いまや「地域の同意」が新たな関門として浮上した。影響は Microsoft・Meta・Amazon・Google・OpenAI・Oracle など、膨大な物理インフラを要する各社の戦略に及び、許認可の長期化・資金調達コストの上昇・政治的に歓迎される土地への集約を促しうる。これは本号の秋田(きのうの号)やNaver・韓国の主権AIと裏表だ——計算・電力・用地を積み上げる動きは、どこでも電力と水と地域政治という「地上の制約」に行き着く。AIインフラ競争は、GPUと資本の勝負であると同時に、電力網・水・住民の受容という物理と政治の勝負になった。個別事案の規模・時期は一次情報で要確認である。
出典:Tech Startups: AI Data Center Backlash Becomes a Bipartisan Political Problem Across the US(Business Insider 報)
きょうのひとこと
きのうの号は「基盤を誰が握るか」を書いた。火曜の号を貫くのは、その基盤が二方向へ同時に動く手触りだ——知能は「クラウドの外」、すなわちローカル・オープン・主権へと広がり、同時に、それを「攻め、守る」サイバーの非対称が新しい主戦場になった。能力は裾野へ降り、脅威はその裾野を追いかける。
広がる側から見よう。Metaは30B・Apache 2.0の「Muse Glimmer」を、単一のコンシューマGPUで動くオープン・エージェントとして公開し、ザッカーバーグは「オープンの障壁を取り除け」と迫った。韓国ではNaverがNvidia・Brookfieldと組み、ギガワット級の主権的な計算基盤を積み、政府は5兆ウォンの半導体基金で足元を固める。中国では、全身制御のヒト型を作るUnitreeが上海上場で約9億ドルを狙い、知能の物理化が資本市場へ入る。日本もこの地図の上にいる。楽天は各店舗の店長をアバター化する「AI店長」と、予約・購入・決済まで担う「スーパーエージェント」を示し、ソフトバンクはAIコーディングを企業ガバナンスの管理下に置く「LLM Gateway」を標準搭載した。供給(開いた知能)と、応用(現場の業務)と、統治(それを縛る層)が、同じ週に別々の場所で組み上がっていく。
だが、能力が裾野へ広がるほど、攻防の非対称が牙を剥く。OpenAIは「サイバー防御の窓が狭まる」として、認可された防御者に制限を緩めた最も踏み込んだモデル「GPT-5.6-Cyber」を投入し、実際にChromeのV8で未知の脆弱性2件を見つけた——高度な依頼の95%に応答するその力は、そのまま攻撃にも効く両刃だ。防御特化のCormaがSequoia主導で6,000万ドルを得たのも、同じ現実の裏返しである。曰く、汎用AIは攻撃者としては88%成功し、守り手としては12%しか検知できない。攻めるAIと守るAIの非対称は、フロンティアラボにもスタートアップにも、同じ形で突き刺さっている。
歯止めと現実は、いつも半歩ずれる。ムーディーズは、銀行のAI推進が少数の巨大テックへの依存を深め、金融システムの新たな脆さになると警告した——知能は分散へ向かうのに、実務の依存はむしろ集中する。米国では、AIデータセンターへの反発が超党派の政治問題になり、「地域の同意」が用地・チップ・資本に次ぐ制約として立ち上がった。基盤を積む動きは、どこでも電力・水・住民の受容という地上の制約に行き着く。
そしてもう一つ、静かだが本質的な問いがある。私たちは、任せている当のモデルを、どこまで分かっているのか。ある独立研究者は、フロンティアモデルを「探る」ことで学習の履歴を推定し、公表された知識カットオフと実際の知識状態がずれる例(あるモデルは5月と公表しながら1月相当の知識に見える)を示した。AI店長に接客を、コーディングにエージェントを、創薬に3万7000体の合議を委ねていく——その各所で、Stanfordがメルクの独立検証を、ソフトバンクがゲートウェイを、AWSの医療事例が「人の監督を残す設計」を挿し込むのは、偶然ではない。委ねるほど、確かめる場所を意識的に残すこと。それが、裾野へ広がる知能と、追いつかない歯止めのあいだで、いま効く唯一の作法だ。
※右カラムの Arena Snapshot は、本日 2026.08.11 の自動取得に失敗したため(arena.ai 公式ページはクライアントサイド描画で web_fetch では中身が取れず、無人スケジュール実行のため Claude in Chrome も利用不可)、直近に取得できた 2026.08.04 の arena.ai 公式スナップショットを表示しています。数値の推測・補間・創作は行っていません(各カテゴリの board 最終更新日はパネル内に明示)。次回取得時に最新値へ更新します。
Edited by New Realities Corporation
Text Vision WebDev Code Image
5カテゴリの読み方を見る GUIDE →
本日 2026.08.11 は Arena リーダーボードの自動取得に失敗したため(arena.ai 公式ページはクライアントサイド描画で web_fetch では中身が取れず、無人スケジュール実行のため Claude in Chrome も利用不可)、直近に取得できた 2026.08.04 の arena.ai 公式スナップショットを表示しています。数値の推測・補間・創作は行っていません(各カテゴリの board 最終更新日はパネル内に明示)。
Text Arena Top 5/ arena.ai 公式・2026.08.04 スナップショット(Overall)
board最終更新 2026.08.01
# Model Bradley-Terry
1
claude-fable-5Anthropic · proprietary
1509
2
claude-opus-4-6-thinkingAnthropic · proprietary
1505
3
claude-opus-4-7-thinkingAnthropic · proprietary
1502
4
claude-opus-4-6Anthropic · proprietary
1497
5
qwen3.8-maxAlibaba · proprietary(暫定)
1496
Vision Arena Top 5/ arena.ai 公式・2026.08.04 スナップショット(Overall)
board最終更新 2026.08.01
# Model Bradley-Terry
1
claude-fable-5Anthropic · proprietary
1318
2
qwen3.8-maxAlibaba · proprietary(暫定)
1305
3
claude-opus-4-7-thinkingAnthropic · proprietary
1303
4
claude-opus-4-6-thinkingAnthropic · proprietary
1299
5
claude-opus-4-7Anthropic · proprietary
1298
WebDev Arena Top 5/ arena.ai 公式・2026.08.04 スナップショット(Overall)
board最終更新 2026.08.01
# Model Bradley-Terry
1
claude-opus-5-maxAnthropic · proprietary
1705
2
kimi-k3-maxMoonshot · Kimi K3 license
1676
3
claude-opus-5-highAnthropic · proprietary
1669
4
qwen3.8-maxAlibaba · proprietary(暫定)
1668
5
claude-fable-5Anthropic · proprietary
1630
Code Arena Top 5/ arena.ai 公式・2026.08.04 スナップショット(Image-to-WebDev)
board最終更新 2026.07.17
# Model Bradley-Terry
1
claude-fable-5Anthropic · proprietary
1627
2
claude-opus-4-7-thinkingAnthropic · proprietary
1581
3
claude-opus-4-7Anthropic · proprietary
1567
4
claude-opus-4-6-thinkingAnthropic · proprietary
1547
5
claude-sonnet-4-6Anthropic · proprietary
1544
Image Arena Top 5/ arena.ai 公式・2026.08.04 スナップショット(Single-Image Edit)
board最終更新 2026.07.24
# Model Bradley-Terry
1
gpt-image-2 (medium)OpenAI · proprietary
1463
2
muse-imageMeta · proprietary(暫定)
1407
3
mai-image-2.5Microsoft AI · proprietary
1400
4
grok-imagine-image-quality (20260519)SpaceXAI · proprietary(暫定)
1390
5
gemini-3-pro-image-2k (nano-banana-pro)Google · proprietary
1389